偽Wi-Fi(イービルツイン)とは、本物のネットワーク名をまねて、スマホをそちらにつながせる偽のアクセスポイントです。運営者には閲覧しているサイトが見え、暗号化されていない通信を書き換えたり、偽のログインページを表示したりできます。ネットワーク名は店員に確認し、Wi-Fiのログインページではパスワードやカード番号を入力せず、フリーWi-Fiではモバイル回線かVPNを使いましょう。
カフェの席に着いてWi-Fiの一覧を開くと、Cafe_WiFiが表示されています。タップして、ログインページに同意すれば、もうインターネットにつながります。けれども、そのネットワークが本当にカフェのものなのか、それとも隣の席でノートPCと安いWi-Fiアダプターを持った誰かのものなのかは、見ただけではわかりません。
後者が偽Wi-Fi、いわゆるイービルツイン(悪い双子)です。本物のネットワーク名をまねた偽のアクセスポイントのことで、古くからある手口ですが、Wi-Fiが「どのネットワークを信頼するか」を決める仕組み上、今でも通用します。
スマホがまねた名前にだまされる理由
- Wi-Fiは名前で見分けられています。 パスワードのないネットワークでは、
Cafe_WiFiという名前のアクセスポイントが本当にカフェのものだと証明する手段がありません。誰でもどんな名前でも発信できます。 - スマホは知っている名前に自動でつなぎ直します。 以前
Airport_Free_WiFiを使ったことがあれば、どこにいても、その名前のネットワークに確認なしでつながることがあります。 - 電波の強いほうが選ばれがちです。 本物のルーターより近くに置かれた偽物は、より良い選択肢に見えます。
- 壁に貼られたパスワードは役に立ちません。 客全員が知っているなら攻撃者も知っています。同じ名前と同じパスワードで偽物を立てられます。
偽のアクセスポイントに見えること、できること
アクセスポイントの運営者は、本物でも偽物でも、あなたとインターネットの間にいます。偽物の場合、その相手には悪意があります。
| できること | 方法 | 防ぐもの |
|---|---|---|
| 使っているサイトやアプリを見る | 通常のDNSの問い合わせや、暗号化された接続に含まれるサイト名から | 暗号化DNSやVPN |
| 行き先を変える | DNSの答えを書き換えたり、HTTPSでないページを改ざんしたりする | 警告を無視しないHTTPS、独自のDNSを持つVPN |
| 情報を求める | メールのパスワード、SNSでのログイン、カード番号を求める偽のログインページ | Wi-Fiのログインページでそうした情報を入力しない |
| HTTPSのページの内容を読む | 証明書の警告を無視しない限り、できない | 証明書の警告を「止まれ」の標識として扱う |
この表には良い知らせもあります。今日の通信のほとんどはHTTPSで、ページの内容は守られています。米国連邦取引委員会(FTC)も、その意味で公共Wi-Fiは「たいていは安全」だとしています。さらに多くのサイトがHSTS(RFC 6797)を使っており、ブラウザーは安全でない接続を拒み、証明書のエラーを無視して進むこともできなくなります。偽Wi-Fiの本当の力は、それ以外の部分にあります。訪れた場所の一覧、HTTPSでないサイト、そして偽のページに入力した内容です。この一覧はWi-Fiの持ち主に見えることの記事で詳しく説明しており、ツール「Wi-Fiに見えることをチェック」で自分の回線でも確かめられます。
注意すべきサイン
どれも攻撃の証拠ではありませんが、立ち止まって確認するきっかけになります。
- 同じ名前のネットワークが2つある。 片方は鍵なし、もう片方は鍵つき、あるいは電波の強さが違う同じ名前が2つ並んでいる。
- ログインページが求めすぎる。 メールやSNSのパスワード、「無料」Wi-Fiなのにカード番号、アプリやプロファイルのインストールを求めてくる。
- いつも使えるサイトで証明書の警告が出る。 無視して進まず、離れましょう。
- 名前がほとんど同じ。 公式の
Airport Free WiFiに対してAirport-Free-WiFiなど。 - サイトの様子が少しおかしい。 見覚えのないアドレスに銀行のログイン画面が出るなど。
身を守る手順
- ネットワーク名を店員に確認する。 パスワードの有無も聞きましょう。掲示やレシートも手がかりになります。
- パスワードのないネットワークへの自動接続をやめる。 Androidでは設定 › ネットワークとインターネット › インターネットを開き、保存済みの公共ネットワークの横の歯車をタップして自動接続をオフにするか、旅行が終わったら削除します。
- Wi-Fiのログインページでは、アカウントのパスワードやカード番号を絶対に入力しない。 本物のカフェやホテルのページが求めるのは、利用規約への同意や、部屋番号、レシートに書かれたコードくらいです。
- 証明書の警告は「止まれ」の標識。 誰かが間に入っていることを示す、ほぼ唯一の目に見えるサインです。
- 大事な操作はモバイル回線で。 ネットバンキングやパスワードの変更などは、できればモバイル回線を使いましょう。
- 自動でつながるVPNを使う。 信頼していないネットワークではVPNが自動で接続するようにし、Androidのキルスイッチもオンにして、接続までの間に通信が漏れないようにします。手順はAndroidのVPNキルスイッチの記事で説明しています。
偽Wi-Fiに対してVPNができること、できないこと
できること:
- スマホとVPNサーバーの間をすべて暗号化します。偽物に見えるのは、あなたが見ているサイトではなく、暗号化された接続1本だけです。
- DNSの問い合わせにトンネルの中で答えるので、偽物に偽のアドレスへ誘導されません。
- なりすましとは通信しません。WireGuardは、アプリがあらかじめ知っている公開鍵を持つサーバーとしかハンドシェイクを完了しないため、偽のアクセスポイントがVPNサーバーになりすますことはできません。
できないこと:
- 接続する前の保護。偽のログインページは先に表示されるので、そこに入力するのをVPNは止められません。
- フィッシングの防止。偽サイトにパスワードを入力すれば、暗号化では守れません。
- すでに感染したスマホの修復。
WPA3や「安全な」ネットワークなら大丈夫?
新しいWi-Fiのセキュリティ規格は役に立ちますが、限界もあります。Wi-Fi Allianceによると、WPA3-Personalは「パスワードを推測する試みへの保護が強化」されており、Wi-Fi Enhanced Openはパスワードのないネットワークに暗号化を加えます。ただし、パスワードが公開されている場合やパスワードがない場合、どちらもアクセスポイントの運営者が誰かまでは証明しません。個人のIDでログインする企業向けネットワークなら身元を証明できますが、それはスマホがネットワークの証明書を確認するよう設定されている場合に限ります。総務省も無線LAN(Wi-Fi)の安全な利用で、接続先のアクセスポイントをよく確認し、HTTPSで通信しているかを確かめるよう呼びかけています。
フリーWi-FiでPryVPNができること
- 信頼していないWi-Fiで自動接続。 設定 › 自動接続とWi-Fiで信頼していないWi-Fiでをオンにすると、信頼済みにしていないすべてのネットワークでPryVPNが接続します。詳しくは公共Wi-Fiのヘルプをご覧ください。
- ログインページを意識して扱う。 PryVPNはネットワークのログインページを検出し、黙って失敗するのではなく、先にログインするよう案内します(Wi-Fiのログインページ)。そのページがカフェとして当然のことしか求めていないか、確かめるタイミングでもあります。
- トンネルの中のDNS。 問い合わせは当社サーバーのリゾルバーに届き、メモリ上で答えられ、記録されません。
よくある質問
偽Wi-Fiにパスワードを盗まれることはありますか?
自分から渡してしまった場合だけです。偽のページに入力した、証明書の警告を無視した、HTTPSでないサイトを使った、といった場合です。HTTPSとVPNを使っていれば、見えるのは読めない暗号化データだけです。
パスワード付きのカフェのWi-Fiなら偽物の心配はありませんか?
そうとは言えません。パスワードがメニューに印刷されていれば、攻撃者も使えます。パスワードは部外者の接続を防ぐものであって、どのアクセスポイントが本物かを証明するものではありません。
偽のアクセスポイントでもHTTPSで守られますか?
証明書の警告を決して無視しなければ、ページの内容は守られます。ただし、どのサイトを見ているかは隠せず、偽のログインページへの入力も防げません。
フリーWi-Fiは使わないほうがいいですか?
大事な操作には、モバイル回線がいちばん簡単です。普段の閲覧なら、HTTPSとVPNを使えばフリーWi-Fiでも問題ありません。詳しくは公共Wi-Fiは安全かのガイドをご覧ください。
信頼していないネットワークにつないだとき自動でオンになるVPNを試したい方は、PryVPNのベータに参加できます。
参考資料
誤りに気づいたらsupport@pryvpn.comまでお知らせください。修正して日付を更新します。